日本三大秘境の椎葉村。伝統的な「焼畑農法」を守り、山を再生したい!
椎葉村noteをお読みくださっている読者の皆様。お久しぶりです。長い間更新ができておりませんでした。申し訳ございません。
しかしこの間、何もしていなかったわけではございません。むしろ、大きな取り組みを仕込んでおりました。
それは、焼畑ガバメントクラウドファンディングです!
「去年もやってなかったっけ?」と思われた皆様。椎葉村に継続的に関心をお寄せくださりありがとうございます。そうです。去年もやっておりました。
ではなぜ今年も行うのか。その理由は、自然は毎年手を入れ続ける必要があるからです。
皆さんの周りでも、春になると桜が咲き、夏には緑が生い茂り、秋には紅葉に目を奪われ、冬は葉の落ちた木に侘び寂びを感じる。そういう景色の移り変わりが、毎年繰り返されているはずです。
このような移ろいを生み出している自然は、誰かの手によって維持されています。有名なコーヒーCMの言葉を借りれば、「世界は誰かの仕事でできている。」というわけです。
「自然を維持するのにも人の手が必要なのは分かった。でもなんで、焼畑なのか。」とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
日本が人口減少、少子高齢化をしておらず、林業に従事する方がたくさんいれば焼畑は必要ないのかもしれません。しかし残念ながら、日本は少子高齢化に伴う人口減少が急速に進んでおり、第一次産業に従事する人も右肩下がりです。
すると何が起こるのか。昭和30年代から造林された杉林などの人工林は、人の手が入らなくなると葉が生い茂り、地面に日光が届かなくなります。日光が届かないということは、植物が育たなくなります。林の中の地面を覆っている植物を「下草」と言うのですが、下草が無くなると地面の保水力が無くなります。また杉は根が浅いので、杉だけでは地面を固めておく力が弱いのです。これら両方の要因が重なり、大雨で土砂崩れが起きる可能性が高くなります。
椎葉村も上記の課題を抱えているため、毎年発生する台風の度に大きな被害が起きないか、戦々恐々としています。
この課題を解決しようとしているのが、焼畑という一度忘れかけられた農業手法です。椎葉村で焼畑を行っている椎葉勝さんは、杉などの人工林を伐採して焼畑を行い、4年ほど耕作した後に落葉広葉樹を植えています。
落葉広葉樹は根を深く伸ばすため地盤が強固になり、また落ちた葉は腐葉土になり地面の保水力を高めます。さらに、どんぐり等の木の実は猪などの山に住む生き物の餌になるため、人間が育てている農作物を食べにくる獣害を防ぐことにもつながります。
さらにさらに、椎葉勝さん曰く、もともと50種くらいしかなかった植物が、焼いた跡には300種もの植物が生えてくるそうです。土の中に眠っていた種が目を覚まし、焼畑の跡は、長い年月をかけて元の山の姿に戻ります。手入れのされなくなった杉林などの人工林に対して、焼畑を行った山は生物多様性という点からも豊かな山ということができます。
土砂崩れの原因を解消し、生物多様性を増進し、獣害を防ぐ豊かな山づくりは、川を通じて豊かな海づくりにもつながります。先述した椎葉勝さんはこのことにも着目されており、「山の整備・保全は下流域に住む人達に対する上流域に住む人の責任で、国が権利を持つ国有林であってもそこに住む人が動き、繋がっていくことで森林保全への道を切り開きたい。」とおっしゃっています。
「自然を維持するのにも人の手が必要で、豊かな山づくりのために焼畑は有効な手段であることは分かった。でも何故ガバメントクラウドファンディングをするのか?」と疑問に思う方もいると思います。大変良いご指摘です。
率直に申し上げますと、焼畑はお金になりません。やればやるほど赤字です。しかし、上流域に住む者の責任として椎葉勝さんは行っていらっしゃいます。個人の利益を度外視して、村や下流域のために焼畑を継続している椎葉勝さんのような方には、公共から何かしらのサポートが必要であると考えます。
もちろん椎葉村の予算で焼畑に対する補助を行うことも可能ですが、それでは「豊かな山が豊かな海をつくる」という考えを流域で共有することが難しくなります。そこで、ガバメントクラウドファンディングなのです。
ガバメントクラウドファンディングを簡単に言うと、ふるさと納税です。皆様がふるさと納税をしたいプロジェクトを選択し、それを行っている自治体に寄付をします。すると、そのプロジェクトに予算が付くわけです。
この仕組みを活用すれば、取り組みを広く発信しながら必要な予算を集めることができます。焼畑を継続するためには、お金だけではなく、焼畑に関心を寄せてくださる方が増えることが必要なのです。
以上が、椎葉村が今年も焼畑のガバメントクラウドファンディングを行っている理由です。もしも焼畑に興味を持たれた方は、以下の動画をご覧ください。椎葉村で焼畑を行ってきた方たちが大事にしてきたことに触れることができる映像です。
ここまでお読みくださり、動画もご覧くださったみなさま。本当にありがとうございます。焼畑に関心をお寄せくださる方が増えることが、継続への第一歩と考えていますので、それだけで目標の半分は達成しているかもしれません。その上で、寄付をしてもいいかなと思ってくださる方は、以下のページにお進みください。
今後も椎葉村をよろしくお願いいたします。
文責
椎葉村地域おこし協力隊
移住コーディネーター 日本で最も美しい村連合アンバサダー
森崎慎也
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