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【協力隊活動日記】向山日当神楽

 椎葉村の神楽は国の重要無形民俗文化財に指定されています。平成3年の指定時点では26の集落で継承されていましたが、今年奉納されたのは14集落でした(夜狩内神楽は直前で神事のみに切り替え)。

 やはり少子高齢化による祝子ほうりこ(神楽を舞う人)などの減少には抗えないのが現状です。しかし、15集落において神楽が奉納される予定だったことは、近隣の町村に比べると地域文化の継承という観点で誇れるものだと感じます。

 そんな椎葉村に住み始めたからには、神楽は見なくてはいけない、ということで見学に行ってまいりました。

 お邪魔したのは今年最後の神楽になった向山日当神楽です。

神様への献上物(発泡スチロールの中はたぶんハマチ)

 会場である向山日当公民館に入り、受付で御神前をお渡しします(これはマナーとなっていますので、今後神楽を見に行かれる方は地元の焼酎2,3升か御神前を3千~5千円お持ちされることをお勧めします)。

 筆者は以前、栂尾神楽を見学に行ったことがあったのですが、全く勝手が違ったため、どこに座っていいのかさえ戸惑いました。しかし、迎えてくださる地元の方々は皆ウェルカムな雰囲気を出しておられて、すぐに落ち着くことができました。

 そうこうしているうちに唱行しょうぎょうという、演目の由来を述べる歌が歌われ始めました。

唱行の調子をとっている太鼓

 18時半から唱行が始まり、19時過ぎから神事が始まりました。宮司さんが神様への(おそらく)感謝の念や願い事を唱えたり、来賓の方が参拝したりなどが行われました。

 これも以前見学した栂尾神楽とは全く異なる進め方で、事前に聞いていた「集落によって神楽は全く異なる」という話が本当であることを感じました。

 神事が終わったと思ったら皆が机を出し始めたので、何事かと思っていたら、賄いと呼ばれる夕食が見学者に振舞われました。振舞われたお弁当は集落の方々で作ったとお聞きしました(お弁当の写真を撮り損ねてしまいました)。

 お弁当と一緒にお酒を飲み始める方も多く、場は一気に温まります。祝子の方が来賓の席を回り、挨拶をされていました。

 そんなこんなで時間は21時前。本格的に神楽が舞われ始めました。以下、神楽の様子をお楽しみください。(写真の掲載順と実際に舞われた順が異なります。すべては筆者の知識不足です。ご容赦ください。)

 神楽そのものも素晴らしいのですが、見学しに来ておられる地域の方々が「せり歌」という掛け声を祝子にかけられる姿に尊さを感じました。地域で生きる尊さといいますか、文化が体に染みついている地域性と言いますか、筆者の語彙力では語りつくせないのですが、この令和の時代に江戸以前から継承されている神楽を継承し、地域住民皆で楽しむ様子に、ジーンと来るものがありました。

 普段役場で見かける、気のいいおじちゃんやイケてる兄さんという印象の方が、江戸以前からの文化を最前線で継承している姿を、ぜひ皆様にも生でご覧いただきたいと思います。

 誠に残念ながら、翌朝の予定があったため23時でお暇したのですが、それでもかなり楽しませてもらうことができました。来年こそは一晩見明かしたいと思います。

文責
椎葉村地域おこし協力隊
移住コーディネーター 日本で最も美しい村連合アンバサダー
森崎慎也

写真
柴田純平

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