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地域おこしには祭りが必要!人が活気を呼び、活気が人を元気にする

2021年度、椎葉村は第6次長期総合計画を策定しました。
この記事では、椎葉村全10地区ごとに行った「地区みらい会議」で話し合われた地区独自のプロジェクトの内容や、地区を代表する方の思いをまとめてお届けします。

大河内地区のご紹介

5つの集落からなる大河内おおかわうち地区は、椎葉村の南側に位置し、宮崎県西米良村や熊本県水上村と面しています。椎葉村の中心部までは車で1時間弱。生活圏としては隣接した熊本県球磨郡も含まれる地域です。

一ツ瀬川の源流域で広大な山々に囲まれ、九州大学演習林や矢立高原キャンプ場があります。

九大演習林内の美しい自然

産業はミニトマトやホウレンソウ栽培が盛んで、共同出荷場が整備されています。

また文化面では、神楽や臼太鼓踊りなどの伝統芸能も盛んです。

この地域に、祭り事は欠かせない

大河内地区についてお話を伺ったのは、椎葉賢二さんと右田健二さんのお二人です。

椎葉賢二さんは現在、大河内神楽保存会の会長として地域の神楽継承に取り組んでいます。

二十歳で椎葉村に帰ってきてからは、建設業や林業、椎茸やホウレンソウ栽培など、幅広い仕事を経験されてきました。

賢二さん:「椎葉に帰ってきてからは、消防、神楽、青年会と活動が活発でした。地元では有志のグループで『やる気会』を立ち上げて、矢立高原フェスティバルを始めました」

今や夏の恒例イベントとなった矢立高原フェスティバル

長年活動してきた「やる気会」を下の世代へ受け渡し、今では神楽保存会長を務める賢二さん。その観点から、地区のことをこう話します。

賢二さん:地域おこしにおいて、祭り事は欠かせない。人口が減っている今だからこそ、暮らしの中に楽しみが必要です。特に神楽は、地元の人にとって小さい頃から目に焼きついてリズムも体に染み付いているもの。昔からずっと、神楽は村一番の祭りでした」

地区の大切な要素である神楽。それも、近年の人口減少による人手不足で、思うように運営できていない現状があります。
人は減っても残していきたい財産を守るため、対策を考えなければいけない。それが地区の課題の一つでもあります。

賢二さん:「神楽は地域の中で楽しむだけでなく、村外の人にも見てもらいたい。私たちの伝統芸能を知ってもらいたいし、それが舞手としてのモチベーションになって技術の向上にもつながります」

外の人をどうやって大河内に呼び込むか。
そこには、これまでもアイデアを出し合ってアプローチしてきました。

賢二さん:「5年前、当時の地区会議に村外の大学生が参加してくれたことがありました。その子の『大自然があるじゃないですか』という言葉にヒントを得て、大河内の巨木と滝をマップにしました

毎日見ている景色や、毎日暮らしている自分たちの土地に対して「ここには何もない」と思ってしまいがちですが、そんな当たり前の中にこそ魅力は潜んでいる。そんなことを気づかせてくれるのは、外の視点だったりするものです。

一人でも多くの人に大河内に来てもらって、神楽や大自然の癒しを知ってもらえば、地域にもさらに活気が出てくるはず。

そんな好循環を生み出していきたい大河内地区の新たなプロジェクトはこちらです。

<プロジェクト1> 矢立高原フェスティバルに体験型プログラムを追加する
毎年夏に地元有志の「やる気会」が開催している「矢立高原フェスティバル」で、子供向けの体験型プログラムと青年向け婚活プログラム、全世代が楽しめる宝探しプログラムの3つを追加で提供する。
1.大河内の自然の良さを次世代に伝える。
2.大河内の自然の中で出会う男女を増やし、関係人口を創出する。

<プロジェクト2> 神楽の運営体制を地域外の人を巻き込んで改善する
宮崎県中山間盛り上げ隊や大学生等にボランティを依頼し、神楽運営をお手伝いしてもらう。宮崎市で神楽公演を行い独自で資金調達を行う。
1.村外の人に大河内神楽を知ってもらいたい。
2.神楽の際に、人手不足から見学者に対する「もてなし」ができない状態なので、最低限できるようにしたい。

人が増えれば、自ずと活気は出る

右田健二さんは、椎葉賢二さんら大河内の先輩世代が立ち上げた「やる気会」の会長を引き継ぎ、高原フェスティバルの開催など地元を盛り上げるための活動を続けています。 

フェスでは名司会の健二さん

健二さん:「一時は人数が減って、会の存続が危うくなったこともありました。それでも『やる気会』を続けてきたのは、祭りに来た人の『ずっと続けてほしい』という声があったから。今では一緒に活動したいという若手も出てきて、頼もしいです」

健二さん:「さらに高原フェスティバルを盛り上げるための親子向け体験イベントや、クリスマスには新たに婚活イベントもやりたい。キャンプ場の周りをぐるっとイルミネーションで囲んで、中央には大きなキャンプファイヤーを組んで燃え上がらせる。とにかく派手にね」

ずっと前から構想を膨らませてきたというアイデアの数々。そんな情熱と遊び心あふれる健二さんの話を聞いているだけで、何だかわくわくしてきます。
そして、「何かやろう、やりたい」と思った時に動ける組織が地区にあることは、住民にとってとても心強く、活気の源のようにも感じられます。

健二さん:『やる気会』の動きを通して地域を盛り上げていくことで、大河内に人を増やしたい。人が増えれば、自ずと活気は出る。その先には職場も必要になってくる。先々は雇用創出に対しても何か少しでもできないかと考えています」

来る人を喜ばせ、自分たちも楽しむ。
そんな前向きな動きの先にこそ、地区の未来が見えてくる。

お二人のお話を聞いていると、頭の中で、今と未来をつなぐ道筋がスッとつながっていくようでした。

優しく穏やかな大河内の自然と人々。
そんな大河内ならではの祭りを体験しに、ぜひたくさんの人に訪れてほしいと思います。


中川note_ライター


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