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【協力隊活動日記】焼畑 火入れ

 前回の更新から2カ月も間が空いてしまいました。

 もちろんこの間、活動をしていなかったわけではありません。単純に筆者の取材力不足です。読んでくださっている皆様に、椎葉村の風景や日常をお伝えしていけるように精進いたします。

 さて、先日(8/16)椎葉村の伝統文化の一つである、焼畑の火入れが行われました。

 筆者は今年度の5月から地域おこし協力隊として椎葉村に来ましたが、実は2019年から大学院の研究で椎葉村を訪れていました。4年前から見たいと思っていた焼畑、絶対に見に行くしかありません。

 また、筆者は協力隊の活動として「日本で最も美しい村」連合という組織に椎葉村が加盟していることを活かして、主に都市部の住民に対して椎葉村の知名度向上への取り組みを行っています。この「日本で最も美しい村」連合に椎葉村が加盟できた要素の一つに焼畑があります。今後の活動のためにも見ておく必要があります。

 ということで、行ってきました。焼畑の火入れ。
 と、その前に、過去の焼畑の様子や、継承されてきた椎葉勝しいばまさるさんについては、以下の記事をご覧ください。この記事では、筆者が協力隊として見た焼畑やその後の直会での様子を綴ります。

 9時ころから開始と聞いていたため8時半に現場に伺ったところ、既に火入れが始まってしまっていました……

 本当は、最初から写真付きで読者の皆様にお伝えしたかったのですが、申し訳ありません。

 筆者は見られませんでしたが、まず、火入れに先立って山の神様に以下の唱えごとをします。

 「このやぼに火を入れ申す。へび、わくどう、虫けらども、早々に立ち退きたまへ。山の神様、火の神様、火の広がらぬよう、また焼け残しのなきよう、おん見守りやってたもりもうせ。」

 やぼ切や火入れなどの作業を継承してきたこと自体も、もちろん計り知れない努力が必要だったと思います。しかしそれ以上に、筆者が重要性を感じているものが、この山の神様への唱えごとが継承されているということです。山と共に生きるという暮らし方が、この唱えごとに表れているのではないかと、筆者は勝手に感じ取っていました。

山の神様への供え物

 神様へのあいさつが済んだら、火入れです。今年は長雨や台風の影響で地面が湿っており火が付きにくかったため、本来は斜面の上の方から火入れをするのですが、今回は下側から火を入れました。

 例年ですと、火をつけたら自然に燃え広がるため、延焼しないように作業するそうなのですが、今年は全然火が広がらず木の枝をくべ続けていました。

事前に切っておいた枝に火をつけていきます

 2時間半ほど火入れの作業をしたら、休憩になりました。民宿焼畑さんに移動して、カレーをいただきました。

カレーから羊羹まで、すべて民宿焼畑さんの手作りです

 さて、十分休憩を取ったところで、作業の続きです。これもまた例年ですと、火入れ1回で十分燃えた後、休憩の間に地面を冷まし、休憩後は種まきになると思うのですが、今回は火入れの続きをしました。

灯油のバーナーを用いてもなかなか燃えません……

 午後も3時間ほど作業をしたところで、この日は作業終了になりました。火入れ後の畑は下の写真のようになりました。

半分も燃えていないですね……

 作業が終了したら直会なおらいです。直会とは、神様にお供えしたものを皆でいただくということなのですが、早い話が飲み会です。民宿焼畑さんに再度移動し、BBQが行われました。

 直会で椎葉勝さんとお話させていただいたのですが、非常にありがたい人生哲学を教授いただきました。それは、「今日のみをしっかり生きる」ということ。明日のことは分からないし、そもそも明日が来るのかも分からない。そんな不確定な未来のことに惑わされ悩むくらいなら、今日しかないと思って生きろ、と言っていただきました。

 地域おこし協力隊として活動していると、どうしても任期後をどう生きるかばかり考えてしまうタイミングがあるのですが、未来は現在の延長線上にしか存在しないため、今ある今に集中して生きていこうと思わされました。

 念願だった焼畑の火入れを見ることができたことに加え、今後の生き方の指針もいただけた非常に実りのあった一日でした。


文責
椎葉村地域おこし協力隊
移住コーディネーター 日本で最も美しい村連合アンバサダー
森崎慎也

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