見出し画像

ひなたで もー

 日当たりのいい放牧地で微睡まどろむ仔牛と、かたわたたずむ母牛。そしてそれを柵の外から優しい眼差しで見守る椎葉公男きみおさん。

 ここは合戦原かせばる、広い牧草地が広がる清々しい高原、開拓者たちによって拓かれた地区です。

「ひなたに出して運動させると、牛も健康になっていいよ」

 別の仔牛がおっぱいをねだって、お腹の下に頭を突っ込んでくると、母牛は真剣になって、追い立てます。

「よその子にはお乳はあげません!」

実の子に乳を飲ませながら、よその子を頭で小突いて追い立てる。時々間違って実の子も小突いてしまう。それを見て公男さんが笑う。

 名前は少々物騒な合戦原で繰り広げられる微笑ましい争いを、公男さんと飽きずにしばらく眺めていました。遠い国での争いよ、早く終われかしと願いつつ。


冊子バックナンバーをご希望の方は、こちらからどうぞ。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!