ひなたで もー
日当たりのいい放牧地で微睡む仔牛と、傍に佇む母牛。そしてそれを柵の外から優しい眼差しで見守る椎葉公男さん。
ここは合戦原、広い牧草地が広がる清々しい高原、開拓者たちによって拓かれた地区です。
「ひなたに出して運動させると、牛も健康になっていいよ」
別の仔牛がおっぱいをねだって、お腹の下に頭を突っ込んでくると、母牛は真剣になって、追い立てます。
「よその子にはお乳はあげません!」
実の子に乳を飲ませながら、よその子を頭で小突いて追い立てる。時々間違って実の子も小突いてしまう。それを見て公男さんが笑う。
名前は少々物騒な合戦原で繰り広げられる微笑ましい争いを、公男さんと飽きずにしばらく眺めていました。遠い国での争いよ、早く終われかしと願いつつ。