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神楽の継承

風薫る椎葉里歩き 第6回 
ONLY ONE エディター 中川薫

 椎葉に、神楽の季節がやってきました。
 ここは尾手納おてのう。近年新型コロナウイルスの影響などもあり、今年は3年ぶりの神楽の奉納となりました。

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 尾手納神楽の目玉は、何と言ってもこの太夫舞たゆうまい。「椎葉の中でも尾手納の太夫舞はすごい。迫力が違うもの。」そう言う人もいるほどです。
 椎葉信男さんは、世襲制のこの演目を40年前に父親から受け継ぎ、今日まで舞い続けてきました。

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 午前1時。焼酎の酔いも手伝って、迎えたこの日の最高潮。照明に照らされた面の光と影、立体感。気迫あふれる躍動感。これぞまさに、全身全霊。観衆の囃し立てる声も次々に重なって、会場全体がエネルギーで満たされていくのを肌で感じます。

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 来年から、この太夫舞は息子の一馬さん(写真中央)が受け継ぐことを決めたそう。父の最後の舞を一瞬たりとも見逃すまいと、その姿を目に焼き付けているようにも見えました。
 信男さんの40年と、世代交代の瞬間を集落の皆で祝福する。それはそれは、特別な夜でした。

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 一方、子どもたちはと言うと、舞も太鼓も大人顔負け。魂のこもった神楽を披露して、一安心のこの笑顔。拍手を送る大人たちの目には、少し熱いものがにじんでいたような。

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 そして、かわいい舞い手がもう一人。太鼓に合わせて、見よう見まねで自由に飛びまわる様はとっても楽しそう。神楽の真髄は幼い頃から、こうして地域の中で育まれていくのですね。

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 かく言う私、今年が「夜神楽1年生」。初めて夜通しで続く夜神楽を体験したわけですが、午前3時に戦線離脱。睡魔に勝てず、一足先にお暇したのでした。まだまだ修行が足りないようです。 


中川onlyoneエディター

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