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椎葉村情報誌「ONLY ONE Shiiba」

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#ダム

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しいば花火大会とダム放水

 今年のしいば花火大会は、三十二年の歴史の中で初めて、上椎葉ダム放水との競演が実現しました。  実は八月の花火大会直前に九州沿岸を通過した台風六号の影響で、災害発生の危険性もあり開催が危ぶまれる緊迫した状況でした。ところが幸い大きな被害がなく、一転してダム放水と花火打ち上げが同時に実現するという奇跡的な展開となったのです。  ここ数年間のコロナ禍でも唯一、椎葉の夏の催しとして開催を続けてきたしいば花火大会。花火通の間では、周りをぐるりと囲んだ山々への反響音の迫力が、しいば花火

巨大建造物もオンリーワン

 上椎葉ダムは、1950年に着工し1955年に完成した日本初の大規模アーチ式ダム。堤体と呼ばれるコンクリートの壁が、上空から見た時に直線ではなく、上流に向かってアーチ状に湾曲していて、巨大な水の圧力に耐えられるようになっているのです。その高さ110メートル。  ちなみに直線状の堤体を持つダムは重力式ダムと呼ばれます。これは堤体を輪切りにしてみると、下流の方に張り出した直角三角形になっています。堤体のどっしりとした重さで水の圧力を受け止める構造なのですね。  さて、アーチ式

ダム湖に浮かぶ

 太陽が穏やかに地上の全てのものを照らし、ぽかぽかと気持ちのよい12月のある日、『ダム湖探検クルージング』が行われました。参加者は3隻の船に分乗して湖面の人となります。  水上から眺める風景は、普段車で道路を走る時のそれとは全く違います。道路下の山肌が剥き出しの斜面や、終わりを迎える紅葉や、上空を悠々と飛ぶ鳥たち、全てが上に見えるのですから。下にあるのは、薄いボートの底とその下の緑色に透き通った水だけ。  特に、『日本初の大規模アーチ式ダム』の巨大な堰堤の上流側を正面から