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椎葉へ「UIターン」

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椎葉村へUIターンした人にお話を聞きました。
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記事一覧

【椎葉若者写真鑑】 集落支援員

 東京で生まれ育った大石哲嗣(てつじ)さん。農業系の出版社に勤めながら、農村の問題や山村の暮らしを取材する中で、山の木々に囲まれて「かてーり」と呼ばれる共助のシステムの中で暮らす農村の逞しさに惹かれるようになりました。  「若いうちから移住して、村民になる生き方をしてみたい」  そんな思いに駆られ、日本各地の候補地を回って、辿り着いたのが椎葉村でした。  椎葉では造林や土木の仕事を経験し、山に関わる仕事の魅力を感じました。その後は、自身も住んでいる小崎地区の集落支援員を務め

【椎葉若者写真鑑】 双子の姉妹

 甲斐真菜佳さんと甲斐美沙紀さんは、尾向地区出身の双子の姉妹。高校進学で椎葉村を出て以来、一度は宮崎市内で就職しましたが、数年前にそれぞれ椎葉へ帰ってきました。現在は、真菜佳さんは椎葉村観光協会へ、美沙紀さんは村内の歯科医院へ勤めています。  といっても、今二人は育児休暇中。椎葉でそれぞれ大切な人と巡りあい、それから結婚、出産と続き、揃ってママになりました。  仲良しの二人とその子どもたちのお気に入りは、椎葉のママたちの憩いの場にもなっている『椎葉村交流拠点施設かてりえ』。

【椎葉若者写真鑑】 でぇらの家

 地域おこし協力隊として六年前に移住してきた村上さんは現在、キャンプ場の指定管理や、自身で古民家をリノベーションしたシェアハウス『でぇらの家』の運営を中心に、椎葉村に興味を持ち、この環境や地域に入ってみたいと思う人の入り口となるような居場所づくりをしています。  村上さんが大切にするのは、自然を活かしながら自身の生きる力やたくましさを養い、生きる手応えの感じられる暮らしをすること。それらを体感として実践できる場所がこの『でぇらの家』です。  例えば、この家にはボイラーがあ

【椎葉若者写真鑑】 畜産農家

 実家の畜産農家を継ぐため、二年前に家族を連れてUターンした椎葉誠也さん。幼い頃は、家で牛の世話の手伝いもしたことがなかったという誠也さんが畜産に興味を持ったのは、宮崎市での会社員時代、偶然顔を出した牛の品評会でした。  両親から誘われたその日がたまたま休みだったので、何気なく行ってみた宮崎県の牛の品評会。そこは、畜産に情熱を捧げる人たちの熱気と歓声で溢れていました。初めて知った畜産の世界の格好よさ。幼い頃から身近にあった牛という存在が、一瞬で自分ごとになった瞬間でした。

【椎葉若者写真鑑】 母

 椎葉亜也加さんは、尾向地区で今も受け継がれている伝統農法の焼畑や、夜神楽に興味を持ったことがきっかけで、長年冬の神楽の時期に合わせて椎葉に通いつめ、ついに六年ほど前に移住してきました。通い出した当初はまだ移住者はほとんどおらず、今こんなふうに、たくさんの若い世代が椎葉に移り住む時が訪れるなんて、思ってもみませんでした。  長年の交流を経て地域にもすっかり溶け込み、近所の農作業の手伝いもよく頼まれるような気心の知れた関係のもと、椎葉暮らしを満喫している亜也加さん。  毎年加

【椎葉若者写真鑑】 椎葉村役場

 尾向地区出身で、小学校から同級生の二人。それぞれ大学や専門学校を卒業後、村へ戻り、椎葉村役場の職員になりました。  椎葉一馬さんは集落の神楽を受け継ぐため、大人になったら帰ってくると決めていました。尾前正樹さんも地元を活気づけたいという強い思いがあります。  二人は、自分たちの村を自分たちの方法で盛り上げようと、数年前にタッグを組みました。その名も『Omukai City Club』。ギターを携えた弾き語りで、尾向地区だけでなく、椎葉村内の様々な行事やお祭りに引っ張りだこ

【椎葉若者写真鑑】 椎葉村図書館『ぶん文Bun』

 四年前に東京から移住してきた小宮山剛さんも「日本三大秘境」のワードに惹かれた一人。別の地域では感じられない唯一の価値があるのではと期待し、「クリエイティブ司書」のミッションにも大いに胸躍らせ、地域おこし協力隊として椎葉村図書館『ぶん文Bun』の立ち上げに携わりました。  椎葉に来て、椎葉の人の話を聞いて、人口減少や村の存続の危機感に触れて。移住促進や子どもたちの教育環境を考え、帰ってくる人を増やさなければ村がなくなる。そんな実感のこもった課題を目の前にして、「燃えざるを得

【椎葉若者写真鑑】 郵便配達員

 郵便配達員として、地元である小崎地区を担当する黒木晏夏(あんな)さん。 「小崎の郵便配達といえば、うちの家と言われるんです」  ひいおじいさんの頃は、車のない時代だったので山から山へ歩いて配達に回っていたと、今でも地域の人が懐かしく話してくれます。おじいさんも、お嫁に来た晏夏さんのお母さんも郵便配達員として勤め、今は自分がその 後を継いでいます。  毎日軽バンに乗って、地区の隅々まで運転して回ります。それぞれの世帯へ到着すると、「こんにちは、郵便でーす」と、大きな声かけ。

【椎葉若者写真鑑】 ミニトマト・花き農家

 脱サラして宮崎市から椎葉へ家族でUターンして約十年になる椎葉勇気さん。地元の大河内地区で新規就農しました。妻の里実さんと二人三脚で、夏場はミニトマトを栽培し、冬場の花き(ラナンキュラス)は三年前から始めました。  Uターンした当時は、新規就農者自体が村内にほとんどいない状況で、補助金や制度も今ほど整備されていなかったそう。専門用語もわからないところから、研修に通う合間に自力でビニールハウスを建てました。  「ある程度の苦労は必要。諦めない気持ちと覚悟を持っていれば、これか

【椎葉若者写真鑑】 尾前設計

日本で最も山奥にあるといっても過言ではない建築設計事務所、尾前設計合同会社。代表の尾前一日出さんの元に昨年、娘夫婦が帰ってきました。楓さんと大樹さん。共に建築士で家業の設計事務所で働きます。  一日出さんは建築はもとより、自然環境や生態系、歴史、狩猟などの知識や経験が豊富で、その保全活動や教育に力を入れています。そんな一日出さんを尊敬し、都会から椎葉に帰ってきた二人。  娘の楓さんは、子どもの頃から自然の中で遊ぶこと、そしてものづくりに親しんできました。写真で楓さんが佇むツ

【椎葉若者写真鑑】 富どの亭

 道路のアスファルトからジリジリと焼けるような夏のある日、不土野の小川の、なんとも楽しそうな場所を訪ねました。  民宿『富どの亭』のご主人、椎葉鉱蔵さんが企画した『秘境の秘密基地、橋の下のファミレス』。涼しい沢で水遊びするもよし、昼寝するもよし、置かれたトランシーバーで注文すると、富どの亭からお弁当やラーメンなどが届きます。  いつも面白い企画を考える鉱蔵さんの隣では、常に息子の栄一さんがサポートをしています。この日も『橋の下のファミレス』は栄一さんが担当。林業の仕事が休み

【椎葉若者写真鑑】 森林組合

 私が椎葉の取材に参加するようになって三年。初めて、同い年の女の子に出会ったのが、森林組合椎葉支所に勤める尾前さくらさん。人懐っこい笑顔で事務所に迎え入れてくれました。  高校卒業後は自衛隊に入隊したというさくらさん。四年目に、このまま昇進するかそれとも・・・と迷った時、一度椎葉に帰ってみようと考えたそう。  そのほとんどが中学を卒業して一旦は村を出る椎葉の若者たちにとって、そんな機会は必ず訪れると言っても良いでしょう。椎葉に帰るか否か?人それぞれ、選択はさまざまだけど、こ

【椎葉若者写真鑑】 林業大学校:山師

 林業大学校という学校があるのをご存じでしょうか。国内屈指の林業県である宮崎県。それを支える、技術・知識を教え、林業後継者を育てる機関が、美郷町にある『みやざき林業大学校』です。  彼の名前は椎葉大樹。林業大学校の研修生で、今、森林組合の作業班で実習を受けているところ。この春卒業したら椎葉に戻り、林業に従事する予定です。父が林業者で、小さい頃から山に入り、木に触れ、その仕事を間近で見てきました。林業大学校に入ったのも、自然な流れだったといいます。  実習での師匠は子どもの

【移住者インタビュー】住んだことで触れられた秘境の文化

来るたび「徐々に」 今回は、椎葉の子ども達に大人気、ALTのジュリーさんに話を伺いました。 椎葉村の小学校・中学校・交流拠点施設Katerieで英語を教えています。 お名前はジュリー・マリー・デュロ(Julie-Marie Duro)さん。 ベルギーのご出身で、高校で英語とフランス語の教師をしていました。他にも、写真美術館のアクティビティーで、子どもから大人まで写真の事を教えていたそうです。 大学で「哲学」を専攻していて、写真の哲学について学ぶうちに興味を持ち自ら撮り始